同じことを書いている店は、値段でしか選ばれない――同じバッグを10の店が売っていた話
同じ商品を何軒もの店が売っていて、どの店も同じことしか書いていなければ、お客様は値段で選ぶしかありません。
家内が運用していたネットショップで、私はそれを経験しました。抜け出せたのは、値段を下げたからではありません。お客様が何を求めているかを調べて、それを証拠つきで書いたからです。2か月間1個も売れなかった4万円のバッグが、紹介文を書き替えて、10日で5個売り切れました。
ホームページでも、同じことが起きています。
同じバッグを10の店が売っていて、うちは高いほうでした
家内はネットショップで、ビジネスバッグを売っていました。メーカーから仕入れた商品なので、同じバッグをほかの店も売っています。私が調べた範囲で、同じバッグを売っている店は10店ありました。
値段はばらばらでした。
| 店 | 値段 |
|---|---|
| いちばん安い店 | 約3万2千円 |
| 多くの店 | 3万2千円〜3万5、6千円 |
| 家内が運用していた店(うち) | 4万円 |
| いちばん高い店 | 4万5千円以上 |
うちは、高いほうから数えて2番目です。そして、2か月間、1個も売れませんでした。
どの店も寸法だけ。その「52センチ」は、測り直すと44センチでした
10店の紹介文を読み比べると、書いてあることはほとんど同じでした。重さ、幅、高さ、マチ幅、持ち手の幅。寸法の数字が並んでいるだけです。うちの紹介文も、最初はそうでした。
あるとき、お客様から「書いてある幅と違う」と連絡がありました。測り直すと、幅は44センチ。うちの紹介文にも、52センチと書いていました。
ほかの店の紹介文を見直すと、どの店も52センチでした。
最初に紹介文を書いた店の寸法を、ほかの店がそのまま写していたのだと思います。写せば、間違いまで一緒に写ります。
どの店にも悪気はなかったはずです。仕入れた商品の紹介文を、先に売っている店に合わせて書く。ネットショップではごく普通のことで、うちも同じことをしていました。
同じことしか書いていなければ、安い店しか選ばれない
紹介文が同じなら、お客様が比べられるのは値段だけです。
実際、いちばん売れていたのは、いちばん安い店でした。
どの店も売れた数は公表していないので、ここはクチコミの件数から推し量りました。「クチコミ1件につき、だいたい8個売れている」という、私が自分で立てた目安です。正確な数ではありません。それでも、どの店が売れているかの並びは、はっきり分かりました。
では、いちばん安い店は儲かっていたのか。3万2千円では、利益はほとんど出ない計算でした。2番目、3番目に安い店も、1個あたりの利益は1,000〜2,000円ほどです。売れても利益が残らない値段で、10の店が競争していたのです。
うちが同じ値段まで下げれば、売れたかもしれません。でも、利益は出ません。利益が出なければ、店を続けられません。
だから、値段は下げないと決めました。代わりに変えたのが、紹介文です。ちょうどそのころ、私は起業の準備の中で、セールスコピーライティング(売れる文章術)を学んでいました。それを試してみることにしました。
売りにしようとしたものと、お客様が求めていたものは違った
最初は、ブランド品であること、見た目がかっこいいことを売りにするつもりでした。私自身が、そこに惹かれていたからです。
ところが、インターネットで調べてみると、ビジネスバッグを買う人が求めているものは違いました。ビジネスバッグを買うときに何を重視するかを尋ねた調査があり、その結果はこうでした。
- 11番は、収納力(たくさん入ること)
- 22番は、丈夫さ(長く使えること)
ブランドや見た目は、その後でした。
売り手が「ここがいい」と思っていることと、お客様が「ここで選ぶ」と思っていることは、ずれることがあります。自分の思い込みのまま書いていたら、ずれたまま、ほかの店と同じ土俵で値段を比べられていたはずです。
言うだけでなく、証明した
「たくさん入ります」「丈夫です」と書くだけなら、どの店でも書けます。読む人も、そのまま信じはしません。ですから、2つとも証拠をつけました。
収納力は、マチ幅(バッグの厚み)で示しました。ビジネスバッグのマチ幅は7〜8センチが多い中で、このバッグは11.5センチあります。その数字を書いたうえで、パンフレットや提案書、パソコンや計算機まで入れた写真を載せました。

ほかの店も、うちも、寸法の数字は最初から書いていました。違いは、その数字を「収納力の証拠」として使ったかどうかです。
丈夫さは、このメーカーのことを調べた本を出典にしました。メーカーは自社の検査室で、重いおもりを生地にぶつけたり、革の上に落としたりする試験を毎日のように繰り返している、という記述です。何を試しているのかを、本の名前とともに紹介文に書きました。
ほかの良さも書きましたが、紹介文の主役は、この2つにしました。
全員に向けては書かない
ビジネスバッグを探している人の中には、軽いもの、小さいものを求める人もいます。このバッグは大きいので、そういう人に無理に勧めても仕方がありません。
このバッグは、資料をたくさん持ち歩く営業の方で、そろそろ買い替えを考えている人に向けて書きました。軽さや小ささを求める人には、別のバッグで、そのバッグの良さを書きました。
1つの紹介文で全員に向けて書くと、どの人にとっても「自分のためのバッグだ」と思えない文章になります。
4万円のままで、売れる店になりました
紹介文を書き替えると、2か月間1個も売れなかった4万円のバッグが、10日で5個売り切れました。最後の1個は4万5千円に値上げしましたが、その翌朝に売れていました。
10の店の中での並びも変わりました。先ほどの目安で数えると、うちは2番目に売れる店になっていました。いちばんは、やはりいちばん安い店です。
値段は下げていません。きちんと利益の出る値段のままです。変えたのは、紹介文でした。
この経験で、私は言葉の力を身をもって知りました。それが自信になり、私はNTTを退職して、今の仕事を始めました。
ホームページも同じです
同じことが、ホームページでも起きています。
ホームページを作るとき、同業他社のホームページを見本にすることがよくあります。制作会社が参考にすることもあれば、経営者が「こんな感じで」と見せることもあります。けれども、その見本が売れているホームページかどうかは、外からは分かりません。見本に合わせて書けば、同じことを書いたホームページが、また1つ増えます。
同じことが書いてあれば、お客様が比べられるのは、値段と場所くらいです。
ご自分のホームページで、次の3つを確かめてみてください。
- 1同業の3社と並べて読んでみる。社名を隠したとき、どれが自分の会社か分かるか
- 2強みとして書いていることは、どこから来たか。お客様が選ぶ決め手として調べたものか、自分が言いたいことか
- 3その強みに、証拠がついているか。出典、数字、写真、お客様の声のどれか
2つ目の「お客様が選ぶ決め手」を調べるいちばん確かな方法は、買ってくれたお客様に直接聞くことです。聞き方は、以前の「良い商品」がWEBで売れない本当の理由に書きました。
W-UPでは、ホームページを作る前に、既存のお客様に話を聞くところから始めます。同業他社と同じことを書かないためです。愛媛・松山のホームページ制作サービスの内容と料金はこちら。
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よくあるご質問
Q. 値段で負けているときは、まず値下げを考えるべきですか。
A. 値下げの前に、紹介文やホームページに書いてあることが、ほかの店と同じになっていないかを確かめてください。同じなら、お客様が比べられるのは値段だけです。値下げは利益を削るので、その値段で続けられるかも合わせて考える必要があります。
Q. 同業他社のホームページを参考にしてはいけないのですか。
A. 見ること自体は悪くありません。ただ、写すために見るのではなく、違いを見つけるために見てください。ほかの社が書いていないこと、お客様が求めているのに誰も書いていないことが、書くべきことの候補になります。
Q. お客様が何で選んでいるかは、どう調べればよいですか。
A. いちばん確かなのは、実際に買ってくれたお客様に、「なぜうちを選んだか」を直接聞くことです。クチコミに書かれていることや、お問い合わせで何度も聞かれることも手がかりになります。売り手が売りにしたいことと、お客様の決め手は、ずれていることがあります。
Q. 強みを証明する材料がない場合は、どうすればよいですか。
A. 数字、写真、お客様の声、第三者が書いた資料のどれかがあれば、証拠になります。寸法のように測れるものは、測り直して正しい数字を書くだけでも、ほかの店との違いになります。
Q. 対象を絞ると、お客様が減りませんか。
A. 絞るのは、1つの紹介文、1つのページの中での話です。このバッグでも、軽さや小ささを求める人には、別のバッグで別の紹介文を書きました。ホームページでも、お客様の種類ごとにページを分ければ、それぞれに向けて書けます。
Q. 紹介文を変えれば、必ず売れるようになりますか。
A. 約束はできません。この話は、商品も値段もほかの店とほぼ同じなのに、書き方で選ばれ方が変わった一例です。出してみて、数字を見て、また直す。その繰り返しで、売れる書き方に近づけていきます。


