押す前に、押す必要があるか分かる――その判断材料は、たいてい画面の中に全部あります
手を動かす前に、その手が必要かどうかは、目の前の画面に書いてあります。
書いてあるのに読まないまま押してしまう。これは能力の問題ではなくて、画面の作りの問題です。どんなツールの画面も、目立つのは「操作するためのボタン」の方です。「今どうなっているか」を伝えている部分は、たいてい地味な文字で、上の方に静かに置かれています。人の目はボタンに行きます。そして押します。押すと、何かをした気持ちになります。
登録されている画面を見ながら、登録をリクエストした
先日、私は自分でそれをやりました。
Googleサーチコンソールというツールがあります。自分のサイトがGoogleにどう見えているかを確認するための、無料のツールです。その中に「URL検査」という機能があって、ページのアドレスを入れると、そのページの今の状態が出ます。私は自社サイトのあるページを調べていました。
画面には、こう出ていました。「URL は Google に登録されています」。緑のチェックマークが付いています。少し下には「前回のクロール」として、つい数日前の日付が入っていました。Googleはこのページを知っていて、、、しかも最近読みに来ている。それが画面の答えでした。
それなのに私は、同じ画面の右上にある「インデックス登録をリクエスト」を押したのです。

押したところで、何も悪いことは起きません。ただ、何も良いことも起きません。登録されているページを登録し直してくださいと頼んだだけで、それで表示が早くなるわけでも、順位が上がるわけでもない。私がやったのは、待つ必要のない列に並び直したことだけでした。

押したのは「何かしておいた方が安心」だから
なぜ押したのか。あとから考えると、はっきりしています。「何かしておいた方が安心だ」と思ったからです。状態を読んで「不要」と判断するより、ボタンを押す方が、心理的に早くて楽なのです。
同じことを、私はもっと高い授業料で経験しています。
誤判定を信じて、2時間かけて元に戻した
今年の6月、あるチェックツールが「このページはコンテンツが欠落している」とメールで指摘してきました。私は慌てて修正に入りました。CSSを触り、表示を直し、また壊し、また直す。2時間かけて、最終的には元に戻しました。その後でサーチコンソールを開いたら、全項目が緑。Googleのクローラーは最初から問題なくページを読めていたのです。ツールの誤判定でした。
最初に事実を確認していれば、作業はゼロで済んでいました。
この2つの失敗は、形は違いますが中身は同じです。どちらも「対策」から入って、「現状」を読むのを後回しにしました。順番が逆だったというだけの話です。ただ、この順番のちがいが、使う時間と気力の量を決めてしまいます。
これはWeb制作やAI検索に限った話ではないと思います。松山市や愛媛県内の経営者の方とお話ししていても、同じ形はよく出てきます。
毎日書き続けているのに、検索結果に出てこない会社
お客様との打ち合わせでも、同じことが起きていました。その会社は、ホームページに新しい情報をほとんど毎日のように書き足しておられました。片手間ではなく、本気で成果を出そうとして続けている。正直、頭が下がりました。ところが、Googleの管理画面で見える「検索結果に出た回数」は、その努力に見合っていませんでした。書いてある言葉で検索されたときに、そのページが表示されていないのです。
それは、書く量の問題ではありませんでした。中身も、伝えたい相手も、はっきりしています。ただ、機械から見たときに、どこが見出しで、何についてのページで、誰が書いているのかが読み取りにくい作りになっていた。人が読めば分かることが、機械には分からない形で積み上がっていました。やっていることが間違っていたのではありません。正しい届き方を意識しないまま、量だけが増えていたのです。しかも毎日続く作業ですから、時間も気力も相当に使います。手応えの返ってこない努力は、いちばん人を疲れさせます。
同じ形は、Webの外でも起きます。売上が落ちたと聞けば、原因を特定する前に販促を打つ。人が辞めたと聞けば、何が起きていたかを確かめる前に求人を出す。
打ち手のいくつかは、現状を読めば「やらなくていい」に変わる
でも実際には、打ち手のいくつかは、現状を正確に読めた時点で「やらなくていい」に変わります。 やらなくていいと分かることは、負けではありません。時間とお金がそのまま手元に残るという、はっきりした勝ちです。そして、やめなくていいものは、順番を入れ替えるだけで効きはじめます。
押す前の10秒
私が今やっているのは、押す前にひと呼吸置いて、画面の上半分を読むことです。緑のチェックが何個ついているか。最後に読まれた日はいつか。その2つを見るだけで、ボタンを押す必要があるかないかは決まります。時間にして10秒です。
10秒を惜しんで2時間を使ったのが、6月の私でした。
ツールは、答えを教えてくれないことがあります。けれど状態は、必ず表示しています。押す前に、そこを読む。集客でもマーケティングでも、たぶん同じことです。
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よくあるご質問
Q. ホームページを毎日更新しているのに、検索結果に出てきません。なぜですか。
A. 量が足りないとは限りません。ページごとに「何についてのページか」「どこが見出しか」「誰が書いているか」が、機械にも読み取れる形になっているかを先に確かめます。更新をやめる必要はありません。順番の問題です。
Q. 「インデックス登録をリクエスト」は押したほうがよいですか。
A. 画面が「登録されています」と表示していて、前回のクロールの日付が最近なら、押す必要はありません。押しても不具合は起きませんが、表示が早くなったり順位が上がったりもしません。押すのは、状態が「登録されていません」と出ているときです。