AIが、この世に存在しない名前でうちの会社を紹介していた――犯人はAIではなく、自分が出していた7通りの名乗り
AIが会社名を間違えるとき、たいていAIのせいではありません。間違いの部品は、こちらのホームページが出しています。
AIが、名乗ったことのない社名でうちを紹介していた
8月の中ごろ、自社の名前でAIに聞いてみました。返ってきたのは「W-UP(松山AI&集客ラボ)」。そんな名前は名乗ったことがありません。翌日にもう一度聞くと、今度は語順が入れ替わった別の形。さらにもう一つ、実在する言葉を組み合わせただけの、うちが使っていない書き方。3通りとも、この世に存在しない屋号でした。
正直に書きます。最初は「AIが適当なことを言っている」と思いました。ここが間違いでした。
自社サイトを1ページずつ数えたら、7通りあった
腹を立てても仕方がないので、自社サイトを1ページずつ見ていくことにしました。会社名がどこにどう書かれているか、全ページ分を数えます。出てきた結果が、7通りでした。半角スペースで区切ったもの、括弧でくくったもの、片方だけを単独で置いたもの、前後を逆にしたもの、全角のスラッシュでつないだもの、英語の名前を並べたもの。一つの会社が、自分の名前を7通りで名乗っていました。
| 書き方 | どこに出ていたか |
|---|---|
| 半角スペース区切り | ロゴにつけた説明文(全ページ)/コラムのフッター/書き手の欄 |
| 括弧でくくる | 機械向けの自己紹介欄/トップページのリード文/契約書の商号欄 |
| 片方だけ(長い方) | 機械向けの自己紹介欄のうち、サイトの名前を書く箇所 |
| 片方だけ(短い方) | Googleビジネスプロフィール/フッターの一部 |
| 前後を逆にする | サイト全体のタイトル設定 |
| 全角スラッシュ区切り | コラムの書き手の欄/画像に入れた署名 |
| 英語名を併記 | ページ下部の著作権表記 |
AIが作った名前は、こちらが出した部品の組み合わせだった
そして、AIが作った名前の出どころが分かりました。こちらが出した部品の再合成でした。
とくに効いていたのが、ロゴにつけている説明文です。画像には、人の目には見えないけれど機械だけが読む説明の欄があります。うちはそこに、半角スペースで区切った書き方を全ページで入れていました。AIが答えた名前は、区切り方までそれと同じだったのです。機械向けの自己紹介欄に「名前」と「別名」を並べて書いていた箇所は、その2つをそのままつないだ形で出てきていました。AIは創作したのではなく、拾って、つないだだけです。
数えているうちに、同じ種類の食い違いがもう2つ出てきました。
資格名は、機械が読む欄だけ1文字違っていた
一つは資格の書き方です。私は「ITコーディネータ」という資格を持っています。経済産業省が推進している資格で、最後に伸ばす記号は付きません。ところが、人が読む本文はすべてこのとおりに書いてあるのに、機械が読む欄だけ、末尾に長音符号の付いた「…ター」になっていました。9ページ分です。人の目にはどちらも同じ資格に見えます。機械にとっては、別の文字列で、別の資格です。

社名を書かず、「あちらを見て」とだけ書いていた
もう一つは、名前そのものを書いていなかった欄です。機械向けの欄に「詳しくはサイトの別のところを見てほしい」という参照だけを書いて、社名を書いていませんでした。人が見るページには、社名も代表者名も顔写真も載っています。だから誰も気づきません。社内で通じる省略は、外では通じていませんでした。
直したのは、機械に向かって名乗っている場所だけ
やったことは単純です。機械に向かって名乗っている場所だけを、一つの書き方に揃えました。ロゴの説明文、ページの下にある著作権表記、記事の書き手の欄、機械向けの自己紹介欄。これまで使ってきた表記は消していません。「別名」を書く欄があるので、そこに全部入れました。名前を一つに決めるのは、複数の中から一つを選ぶことであって、他を捨てることではありません。
Googleビジネスプロフィールの名前は、触ってはいけない
1か所だけ、あえて触らなかった場所があります。Googleビジネスプロフィールの名前です。ここは実際の名称に地域名やサービス名を足すことが禁止されていて、違反するとプロフィールが止められることがあります。MEOの解説記事でも「店名に宣伝文句やキーワードを入れるのは違反」と繰り返し注意されている項目です。名乗りを揃えている最中は、揃っていない箇所が全部気になります。ここも一度は直そうと考えて、やめました。ホームページの側から「このビジネスプロフィールは当社のものです」と機械向けに宣言しておけば、文字列が多少違っても、同じ会社だと伝わります。
これは名刺と看板の話です
この話は、Web制作やAIの話に見えて、実は名刺と看板の話だと思っています。松山市や愛媛県内でお会いする経営者の方の会社でも、名刺・看板・請求書・ホームページで社名の書き方が少しずつ違うことは、めずらしくありません。人は補って読んでくれます。機械は補いません。別の書き方は、別の会社として数えられます。集客やマーケティングの入口がAIに移りつつある今、この差はだんだん大きくなります。
お金も道具もいりません。ご自分の会社名をAIに聞いてみてください。返ってきた名前が、名刺の通りかどうか。違っていたら、責めるべき相手はAIではなく、たぶん自分の書き方です。そして書き方は、自分で直せます。
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よくあるご質問
Q. 会社名を一つに揃えると、これまでの表記は無駄になりますか。
A. なりません。機械向けの自己紹介欄には「別名」を書く欄があり、これまで使ってきた表記はそこに全部残せます。一つに決めるだけで、他を捨てるわけではありません。
Q. Googleビジネスプロフィールの名前も揃えるべきですか。
A. いいえ、ここだけは触らないでください。実際の名称に地域名やサービス名を足すことはガイドラインで禁止されていて、プロフィールが停止される場合があります。ホームページ側から「このビジネスプロフィールは当社のものです」と機械向けに宣言しておけば、名前の文字列が違っても同じ会社だと伝わります。